遺言書の保管と執行
遺言は書面ですることが要求されていますが、遺言によって自らの意思を
実現するためには、その遺言書を相続人に見つけてもらわなければなりません。
発見してもらえなければ折角作成した遺言は何の効果もありません。
ですから、遺言書は遺言者が亡くなった後に相続人らがすぐにわかるような場所で、かつ隠されたり勝手に書き換えられたりする心配の無い場所に
保管しておく必要があります。
身の回りでそのような場所を探してみてください。
もし、そのような場所が見つからない場合は、以下の記述を参考にしてください。
(1)公正証書遺言の場合
公正証書による遺言は、遺言書の原本が公証役場に保管されています。
ですから、相続人らにどこの公証役場に遺言書を作成してあると伝えておけば十分です。
遺言者が存命中また、遺言書の存在が明らかになっても、相続人らが公証役場を訪れて遺言書の内容を教えて欲しいと要求したり、
閲覧を請求したりしても、公証人がこれに応じることはありません。
遺言の内容の秘密を保つことが出来るもっともお勧めの方法といえます。
(2)司法書士に頼む場合
遺言書作成の際にアドバイスを受けた司法書士に保管を頼むという方法があります。
司法書士は守秘義務を負っており、職務上知りえた事実を第三者に洩らすことは禁止されています。
従って、遺言書の存在すら秘密にしておくことも可能です。
(3)第三者に頼む場合
自筆証書遺言の場合、配偶者をはじめとする親族に預けることも多いようです。
しかし、法定相続人など遺産に利害関係のある方に預ける場合には、隠匿、改ざんの恐れがあり、後に紛争の種になりかねませんので、遺産に何の利害関係のない公正な第三者に保管してもらうようにしましょう。
遺言で遺言執行者を定めた場合には、遺言執行者に預けておくこともできます。